体組成計の原理【TANITA公式ホームページ引用】(その3)

乗るだけでからだの脂肪や筋肉の量がわかる体組成計。その原理について詳しく解説します。

なぜ体組成計に乗るだけで体組成を計測できるのか

タニタの体組成計は乗るだけで体組成をはかることができますが、これは「生体電気インピーダンス法」という分析方法を応用して計測を行っているためです。

体組成計では予め入力した身長や年齢、性別といった情報と、実際にはかる体重とからだの電気抵抗値(インピーダンス)を組み合わせることで簡単に体組成をはかることが出来るのです。

●生体電気インピーダンス法
生体電気インピーダンス(BIA=Bioelectrical Impedance Analysis)法とは、からだに微弱な電流を流し、その際の電気の流れやすさ(電気抵抗値)を計測することで体組成を推定する方法です。

「脂肪はほとんど電気を流しませんが、筋肉などの電解質を多く含む組織は電気を流しやすい」という特性を利用します。

からだの中で電気を通す組織である筋肉組織は、その太さ(断面積)により電気の通りやすさ(電気抵抗値)が異なります。断面積が大きいほど電気抵抗値が低く、断面積が小さいほど電気抵抗値は高くなります。電気を通して判明した電気抵抗値と、予め入力された身長から筋肉組織の長さを割り出し、太さと長さを組み合わせることで筋肉量を計算しています。ここで割り出された筋肉量と測定した体重、予め入力された情報とたくさんの統計データから、どれだけの脂肪がからだについているのかを推定しています。

BIA法

上記の原理を利用すると、身長と体重が同じでも脂肪の多い人と少ない人では、からだの電気特性に下記のような違いがあることが分かります。
・脂肪の多い人(筋肉の少ない人)⇒電気抵抗値が大きい
・脂肪の少ない人(筋肉の多い人)⇒電気抵抗値が小さい
この電気抵抗値の違いをもとに分析を行っているので、乗るだけで(体重と電気抵抗値:インピーダンスをはかることだけで)体組成を導き出すことが出来るのです。

【体脂肪率が分かる仕組み】微弱な電気を流してはかっています【タニタの体組成計】

タニタ公式YouTubeチャンネルの再生リスト「家庭用 体組成計」も、ぜひご覧ください。

さらに高精度に計測するためのタニタの技術

計測にはからだの電気の通りやすさをはかっているのですが、実は筋肉内の電解質の電気特性(電気の通り具合)は、年齢や運動習慣などにより個人差があり一様ではありません。従来の生体電気インピーダンス法では、この個人差を電気的に捉えることは出来ませんでした。
しかし、タニタでは「リアクタンステクノロジー」と「マルチ周波数測定」という技術を用いて、筋肉内の電解質の個人差を電気的に反映させることに成功しました。タニタの体組成計はこの技術を用いることにより、従来の生体電気インピーダンス法より高精度に体組成を計測できるようになっています。

●マルチ周波数測定

生体組織において、電流はその周波数によって流れる経路が異なります。(図1) からだに流れる電流の周波数が低い場合、電流は細胞膜を透過できないために細胞外を流れます。周波数が高くなるにつれ電流は細胞膜を透過するようになり、細胞内にも電流が流れるようになります。

このように複数の周波数の電流を使い分けることで生体組織の細胞の詳しい情報を得ることができ、より正確な計測を行うことができるのです。

(図1)マルチ周波数測定イメージ図

●リアクタンステクノロジー

図2 生体組織の等価回路モデル

生体組織は細胞とその間を満たす細胞外液から構成されており、さらに細胞は細胞内液と細胞膜から構成されています。

電気的に、細胞内液・細胞外液は抵抗成分(レジスタンス)、細胞膜は容量成分(リアクタンス)とされ、これを電気的等価回路に表すと図2のようになります。このようにレジスタンスとリアクタンスを計測することで、細胞内液・外液と細胞膜の情報を得ています。

従来のインピーダンス計測では、レジスタンスとリアクタンスが合成されている数値しか得ることが出来ませんでした。タニタでは従来のインピーダンス計測から、さらに詳しくレジスタンスとリアクタンスを別々に計測する「リアクタンステクノロジー」を開発しました。

生体組織からの電気的情報を増やすことで生体組織の細胞レベルの変化を捉えることができるようになり、個人差を反映した分析や、日中の水分変動の影響を小さくすることに成功しました。

体組成計を使うことで、体組成を素早く簡単に計測できるようになった

 従来、正確に体組成を計測する方法として「DXA法」という方法が一般的に用いられていました。しかし、DXA法は詳細なデータが得られる半面、X線を用いる非常に高価な装置でした。

また、専門の研究機関・医療機関などでしか計測できず、また計測にも時間がかかるため、簡便に誰でも利用できるとは言い難いものでした。 タニタでは、このDXA法を基準とした体組成計を開発することで、誰でも簡便かつ精度良く体組成を推定することが可能になりました。

●DXA法とは

図3 DXAでの測定風景

DXA法(Dual energy X-ray Absorptiometry)とは、2つのエネルギーのX線を全身に照射させそれぞれのX線の透過率の比から、脂肪・筋肉・骨といった体組成を計測する方法です。 このDXA法は体組成を計測する最も信頼できる方法として様々な研究分野で広く用いられています。(図3および図4)

●体組成計とDXA法との関係

図4 DXAでの測定結果例

タニタの体組成計はこのDXA法の値を基準としています。体組成計での計測結果がDXA法での計測結果と高い相関性が出るように、幅広い年代・性別から多くの計測データを集め、このデータをもとにアルゴリズムを開発しました。
推定精度では、脂肪量・筋肉量ともに、他社の追随を許さない精度の良い測定が可能となっています。

BIAとDXAにおける体脂肪率と筋肉量の相関図

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